宮廷画家ゴヤは見た

18世紀末のスペイン。
宮廷画家ゴヤが見た(時代に翻弄される)美少女イネスの悲しい運命。
2006年、アメリカ製映画なので、全編英語。*1
ゴヤの銅版画に重ねて描かれる戦争中の略奪シーンがすごくリアルで、見なければ良かったよー!
それ以前も同じことが繰り返されていただろうし、勝者によって無かったことにされていたんだろうけど、
残っているだけに18-19世紀の戦争関係のイメージは本当に怖い。記録写真の類も。
まるでステレオタイプ的なオンナコドモの意見のようだけど、政治関係者でもなく、軍人でもなく、
一般人なので、怖いという感じ方で間違っていないと思います。

でもそれにもかかわらずホロコーストを含めた、悲惨でリアルな戦争関係の映画を見てしまうのはなんでかな。
パンピーのサディストとマゾヒストのまじりあう感覚が、災いの元なんでしょうか。

最後まで冷静に国の有様・イネスの運命を傍観し記録し続けるゴヤの姿は、
社会的規範を逃れた何者でもない『アーティスト』の記号のようでした。

美術愛好家的特典は、銅版画作成シーン。

○そのほか気づいたところ。
国の支配者がころころ変わり、悪者と良い者が逆転していく様に『覇王覇王別妃 わが愛』を連想した。
ラストの悲惨な現実と陽気な音楽(スペイン語の子供の歌)のコントラストは、
私のトラウマ映画『ソルジャー・ブルー』を。

*1:宮廷ではフランス語、街ではスペイン語にしてほしい!だってそうだったんでしょ。