夏目漱石の『こころ』に感情移入してしまい、
つらくなってきたのでやめて、
ジェフリー・フォードの『白い果実』を読んだ。
観相学という非科学的な判断によって人を犯罪者に仕立て上げ、
処刑することがあたりまえの国が舞台のファンタジー。
この本、すごく読みたかったんだけど、いろいろなところでキシカンを感じ期待はずれでした。
主人公の高慢な性格が矯正されていくと言う点では、小野不由美の十二国記を思い出したし、
美薬というドラッグにはまっているところは、シャーロック・ホームズを連想した。
楽園から来た《旅人》に、天空の城ラピュタのロボットを重ねてしまいました。(同じ役割分担)
それと、この小説で語られていることの多くは、実際に起こっている・起こったことだと思う。
暴力を使って独裁政治をする、
非科学的な事柄によって人を逮捕して虐殺(人格的抹殺も含む)する、
非科学的な事柄によって女性を男性よりも劣ったものとみなす、
辺境地を開拓して《楽園》をつくりだす等。
だからといって面白くなかったわけじゃないけど、ちょっと残念。